こんにちは。鍼灸学科T1です。
今回は「Pain」に掲載された「Genetic ablation of delta opioid receptors in nociceptive sensory neurons increases chronic pain and abolishes opioid analgesia.」という論文を紹介します。
今回は特に鍼や灸に特化した内容ではありません。
「痛み」に関する論文であります。
我々の身体にはモルヒネ様物質である内因性オピオイドペプチドというものがあります。そしてこのペプチドに対する受容体にはμ・κ・δ受容体があります。
これらの作用により、我々の身体は痛みを抑制することができます。
これらの鎮痛作用は中枢神経系だけでなく、末梢神経系にも働きかけ、鎮痛を起こすことができます。
この論文は末梢神経系におけるδ受容体に関する研究です。
著者らは、末梢神経系に属する特定の侵害受容ニューロン(痛覚を伝える感覚ニューロン)のδ受容体ノックアウトマウス(δ受容体が発現しない)を作成しました。
すると痛みの閾値が下がり、痛みを感じやすくなるという結果がでました。
この研究から末梢のδ受容体により、急性だけでなく慢性の痛みも抑えられる可能性が示唆されました。
今後、痛みを抑えるために、末梢神経系のδ受容体を抑えるのも一つの方法である、ということをサポートする一つの論文です。