<新年度記念、ラブストーリーを初リリース>
あれは、せつない、そして悲しい出来事だった、リュウジと、ユカリは同じ高校のクラスメイト。地元の同じ大学に進学するために、猛勉強した。
しかし結果は、リュウジは不合格、地方の大学に進学することになり、二人は遠距離恋愛になった。リュウジは下宿生、アルバイトで忙しく、ユカリはバレーを続けるために部活動に入部した。
やがてメールの返事もできなくなり、電話もかけなくなった。互いの距離が遠くなり、疎遠になった、リュウジはくされて、ふさいだ。ユカリは部活動に専念していた。
下宿屋の前には、あの頃二人で海辺を走った、FZR400がさびていた。しかし一時も、互いを忘れることはなかった。
時間は流れ、四回生就活が始まり、リュウジはユカリがいる地元の会社に、ユカリは、リュウジがいる、地方の会社を希望し、内定が出た。
そして秋、ユカリは、リュウジの下宿屋をたずねた。留守だったが、妹を名のり、大家に鍵を開けてもらった。ところが、テーブルの上には知らない女性と肩を並べている写真が一枚、涙があふれた。
高校生の時にリュウジからもらった、ネックレスをテーブルにおき、止まらぬ涙を押さえながら、本当は乗るはずのない、最終の新幹線に向けてタクシーを走らせた。
それから10分後、バイトをおえた、リュウジが帰ってきた、玄関で大家が 『さっき妹さんがきてたよ』 ときいたが、リュウジには妹はいない。
はっとして、部屋に走り込んだ、写真の前には、忘れもしない、あのネックレスと二つぶの涙があった、バカヤロー、この写真はバイトの送別会の一枚だろ、時計をみた。最終の、のぞみまであと10分、予報どおりの雨が降りだした。
タクシーでは間に合わない。3年近く乗っていないFZRにまたがり、エンジンをかけた、セルは回るが、かからない、何回やってもかからない、やがてバッテリーも少なく、とまりかけた、最終まで残り5分。
『クソ、かかれ、このオンボロバイク』 バイクを蹴飛ばしてセルを回すと、ブォーン、始動した。
雨の中、ぶっ飛ばして駅についた。
コンコースからホームへ駆け上がったが、のぞみの赤いテールランプがちょうどホームから消えていった。ホームに膝まつき、伏せた。
『なんでだよ』と運命を恨んだ。その時、ホーム先から近づくヒールの足音、ま、まさか、顔を上げると、ユカリだった。
『きっときてくれると信じてた』。リュウジは、ユカリの顔を見つめ、『写真はバイトの送別会だよ、バカ』
ユカリの目から涙があふれた。
駅から二人を乗せたFZRは、夜の ”海辺” を走った。
5年前と同じように。
ガラスに、浮かんだ街の灯に~、シンデレラ、いま、魔法が溶けるように、列車は出てくけど~
キャー、泣けてくるやろ。ヤジオは作家やで、仕事かえよかいな。
さてさて、平成22年も始まりました。
新年度記念初ブログ、オンボロバイクと忘れていたあの頃、楽しんでいただけましたでしょうか
誤解を招くから念のためにいうが、フィクションです。作り話です、ホンマ。
ただ偶然に、ヤジオも大学時代はFZR400、のぞみのとまる、地方の下宿屋やったけどな、ウフフ。
多くを語るのは来週にしよう、粋な柔整師になるには文才も、文学センスも大切なんじゃよ。
じゃあな、バイバイ。